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子牛の免疫は、大きく分けて液性免疫と細胞性免疫に分けられます。高い免疫効果を与えてくれるとされている初乳は液性免疫の面で重要なものと考えられています。それ以外に細胞性免疫を活性させる機能も有しています。初乳を与えることは大切ですが、その効果は約10日間で、以降は子牛自身が免疫を作ることになります。
そこで重要になってくるのが細胞性免疫の機能を持ち、リンパ球を成長させる胸腺の発達です。子牛の胸腺の発達には妊娠中の親牛の栄養状態が影響しているといわれており、中でもタンパク質と亜鉛、ビタミンAが胸腺の発達に非常に影響しています。
そして分娩前の100日間の栄養状態によって子牛の成長が決まりますのでしっかりと乾乳期間を取ることが大切になります。子牛を見ると乾乳期の管理状態を把握することも可能です(図1)。特に胸腺の大きさを見れば給与内容もある程度推測できます(図2)。
感染症対策はルーメンと腸管のコンディションをよい状態に保ち、微生物叢をいかに安定されるかが重要になります。抗生物質を重視するのではなく、ルーメンと腸管のコンディションを向上させる添加剤を選択する「生物学的方法」が効果的です。ルーメンや腸の微生物叢を安定させることで感染症原因菌を抑え込み、感染症に強い子牛に育てることが可能になります。